高校物理でミスを減らすテクニック

高校物理では問題が複雑になるにつれ,答えに現れる文字の数が増えたり,答えの形が複雑になったりする.そうすると,必ずと言っていいほど計算ミスが起こる.とはいえ,計算ミスをしないように気を付けるのは疲れるし,1 行 1 行式を追っているようでは時間が足りない.そこで本記事では,得られた答えが妥当かどうかを判断する方法について紹介する.計算ミスなど気にせずに答えを出し,その答えが妥当であるならば自分の解答に自信を持ち,妥当でないならば計算し直せば良いのだ.

ディメンション(次元)を確かめる

問題

次の答えが妥当であるか判断せよ.

速さを求める問題で,答えが \sqrt{\dfrac{2Mgh}{m+M}} となった.ただし,それぞれの文字の次元は m\mathrm{[kg]},\, M\mathrm{[kg]},\, g\mathrm{[m/s^2]},\, h\mathrm{[m]} である.

ルートの中身について,分母の次元は \mathrm{[kg]} であり,分子の次元は \mathrm{[kg \cdot m^2/s^2]} であるから,ルートの中身全体として \mathrm{[m^2/s^2]} という次元になっている.よって,ルートを取れば \mathrm{[m/s]} という速さの次元になるので,得られた答えは妥当であると言える.

極端な値を代入してみる

質量を無限大にしてみる

問題

次の答えが妥当であるか判断せよ.

摩擦のない水平面に置かれた三角台の高さ h の位置に小球をのせ,静かに手を離した.小球の質量が m,三角台の質量が M であるとき,小球が水平面に到達したときの小球の速さ v を求めよ.ただし,重力加速度を g とする.

という問題で,答えが v = \sqrt{\dfrac{2Mgh}{m+M}} となった.

三角台の質量を無限大に近づけると,三角台が水平面に固定されているとみなすことができる.得られた答えにおいて M \to \infty とすると,v \to \sqrt{2gh} となる.

これは,三角台が水平面に固定されていると仮定したときの答え

\frac{1}{2}mv^2 = mgh \; \therefore \; v = \sqrt{2gh}

と一致するので,得られた答えは妥当であると言える.

ディメンション的にも妥当である.

傾斜角を 0°, 90° にしてみる

問題

次の答えが妥当であるか判断せよ.

摩擦のない水平面に置かれた三角台の上に小球をのせ,静かに手を離した.三角台の傾斜角が \theta,小球の質量が m,三角台の質量が M であるとき,小球の三角台に対する加速度 a を求めよ.ただし,重力加速度を g とする.

という問題で,答えが a = \dfrac{(m+M) g \sin \theta}{m \sin^2 \theta + M} となった.

傾斜角が 0\degree のとき,台も小球も静止するので a = 0 となるはずで,傾斜角が 90\degree のとき,台は静止し小球は自由落下するので a = g となるはずである.

得られた答えにおいて \theta = 0\degree,\, 90\degree を代入すると確かに a = 0,\, g となるので,得られた答えは妥当であると言える.

ディメンション的にも,質量を無限大に近づけたとしても妥当である.

まとめ

  • ディメンションが妥当かどうか
  • 質量を無限大にした(物体を固定した)ときの値が妥当かどうか
  • 傾斜角を 0°, 90° にしたときの値が妥当かどうか

をチェックして,妥当であるならば自分の解答に自信を持ち,妥当でないならば計算し直せば良い.

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